小出 薫(職業:弁護士)のブログです。
2018年1月時点で新潟県糸魚川市内に事務所がある唯一の弁護士です。
海も山も近くに迫る糸魚川の町で奮闘中です!
Posted by 小出 薫 - 2018.01.06,Sat
普段、よくご相談を受ける”時効”について、連載中です!
第3回目は「期限が決まっていない場合の消滅時効の起算点」です。
◆時効の種類(前回記事より)
前回までで、時効には
①権利が消える「消滅時効」と
②権利を得られる「取得時効」とがあることを確認しました。
また、消滅時効は「権利を行使することができる時」。
つまりは、期限の翌日(の0時0分)からスタートすることも、
確認しました。
◆期限が決まっていない場合はどうなる?
今回のテーマは、
権利(たとえば、お金を返してもらう権利)に
期限が決まっていないときは、
いつから消滅時効がスタートするか、ということです。
たとえば、
「あるとき払いでいいから」と期限を決めずに、
お金を貸したこと、あなたにもありませんか?
こういうときは、いつから消滅時効がスタートするのでしょうか。
◆「履行の請求を受けた時」からスタート
手がかりは、民法412条3項にあります。
→ 民法412条の条文はこちら
民法412条3項には、
「債務の履行について期限を定めなかったときは、
債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」
と書いてあります。
この「履行の請求を受けた時」とはどういう意味でしょうか。
この場合、消滅時効のスタートのタイミング(起算点)となる
「権利を行使することができる時」は、いつになるでしょうか。
それは、
「義務を負った人が、権利を持つ人から、
義務を果たしてくれと言われた時」ということになります。
◆具体例
仮に、Aさんが、
1月1日にBさんへ10万円を貸したとします。
このとき、二人の間では、返す期限を決めませんでした。
Aさんは、6月30日に「お金を返して」と手紙をだしました。
Bさんは、この手紙を7月1日に受けとりました。
しかし、実際にBさんが手紙を読んだのは7月10日でした。
この場合、Bさんが、Aさんから「義務を果たしてくれ」、
つまり、「お金を返して」と言われたのは、
7月1日ということになります。
(手紙を受け取れば、放置しても「言われた」、
「履行の請求を受けた」ということは変わりありません)
つまり、この例では、
7月1日の途中で「履行の請求を受けた」ので、
「権利を行使することができる時」は次の日からスタートします。
(この、途中になった7月1日を計算に入れないルールは、
「初日不算入の原則」と呼ばれています。
民法140条に定められています。)
その結果、7月2日が時効の起算点、となるのです。
◆まとめると…
期限が決まっていない場合、
消滅時効がスタートするタイミング(起算点)は、
「履行の請求を受けた時」、
請求を受けたら、その次の日から消滅時効がスタートする、
というわけです。
では…
起算点からどのくらいの時間が経ったら消滅時効が成立する?
という疑問については、 次回に続きます。
(つづく)
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プロフィール
HN:
小出 薫
性別:
男性
職業:
弁護士
趣味:
①演劇を見ること。②知らない場所を歩くこと(地図を見ながらでも、地図を見ないようにしながらでも楽しい)。
自己紹介:
◆所属するグループ:
新潟県弁護士会
新潟トラブルシューター(TS)ネットワーク
薬害肝炎(C型肝炎)東京弁護団
HPVワクチン薬害訴訟弁護団
介護保険勉強会、日本社会保障法学会
◆出身:
一橋大学法科大学院
ニューヨーク州立大学大学院Stonybrook校
(公共政策プログラム)
京都大学農学部森林科学科
新潟県弁護士会
新潟トラブルシューター(TS)ネットワーク
薬害肝炎(C型肝炎)東京弁護団
HPVワクチン薬害訴訟弁護団
介護保険勉強会、日本社会保障法学会
◆出身:
一橋大学法科大学院
ニューヨーク州立大学大学院Stonybrook校
(公共政策プログラム)
京都大学農学部森林科学科
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