小出 薫(職業:弁護士)のブログです。
2018年1月時点で新潟県糸魚川市内に事務所がある唯一の弁護士です。
海も山も近くに迫る糸魚川の町で奮闘中です!
Posted by 小出 薫 - 2018.01.07,Sun
障害者差別解消法のまめ知識、第3回目です。
前回は、法律の対象となる「行政機関等」や「事業者」の
意味を確認しました。
今回のテーマは、
「法律が禁止すること=不当な差別的取扱い」です。
障害者差別解消法は、行政機関等や事業者に対して、
何を「すべきでない」と禁止しているのでしょうか。
◆「不当な差別的取扱い」の禁止
障害者差別解消法が禁止しているのは、
「不当な差別的取扱い」 です。
そのことが書いてある法律の条文7条1項はこちらです。
7条1項には、次のように書かれています。
「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、
障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いを
することにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」
法律は、障害を理由として、障害のない人と比べて、
差別的取扱いをすることを禁止しているのです。
これは、事業者も同じです(法8条1項)。
◆「不当」と「正当」とは?
条文を見ると「不当な」とあるので、
「不当でなければ差別的取扱いをしてもいいんじゃない?」
と感じるかもしれません。
つまり、差別的取扱いをする「正当な理由」があれば、
差別的取扱いをしても法律違反にはならないのではないか?
という疑問です。
たしかに、そのような例外を認めているのが、
この条文です。
ただし、差別的取扱いをする理由が「正当」と
認められるためには、
客観的に正しい(第三者から見ても納得できる)理由
でなければなりません。
そのため、理由が「正当」と認められる例外は小さく、
「不当」とされる場合が多いと考えられています。
◆具体的には…
たとえば、過去の法律では、
障害のある人の一部から、選挙権を奪っていました。
これは、障害を理由とした「差別的取扱い」に該当します。
しかし、障害があるからといって、
投票ができないわけではありません。
つまり、選挙権を奪うことは「不当」です。
したがって、このような法律は「不当な差別的取扱い」を
定めるものだったのです。
この具体例は選挙制度に関するものですが、
それ以外にも、
障害を理由とした「不当な」「差別的取扱い」は、
まま行われており、
障害のある人もない人も共に生きる社会を
作る壁になっていることがあります。
◆まとめ
障害者差別解消法の一つの柱として、
障害を理由とする「不当な差別的取扱い」が
禁止されているということ、
多くの方に知って欲しいと思います。
(つづく)
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プロフィール
HN:
小出 薫
性別:
男性
職業:
弁護士
趣味:
①演劇を見ること。②知らない場所を歩くこと(地図を見ながらでも、地図を見ないようにしながらでも楽しい)。
自己紹介:
◆所属するグループ:
新潟県弁護士会
新潟トラブルシューター(TS)ネットワーク
薬害肝炎(C型肝炎)東京弁護団
HPVワクチン薬害訴訟弁護団
介護保険勉強会、日本社会保障法学会
◆出身:
一橋大学法科大学院
ニューヨーク州立大学大学院Stonybrook校
(公共政策プログラム)
京都大学農学部森林科学科
新潟県弁護士会
新潟トラブルシューター(TS)ネットワーク
薬害肝炎(C型肝炎)東京弁護団
HPVワクチン薬害訴訟弁護団
介護保険勉強会、日本社会保障法学会
◆出身:
一橋大学法科大学院
ニューヨーク州立大学大学院Stonybrook校
(公共政策プログラム)
京都大学農学部森林科学科
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