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小出 薫(職業:弁護士)のブログです。 2018年1月時点で新潟県糸魚川市内に事務所がある唯一の弁護士です。 海も山も近くに迫る糸魚川の町で奮闘中です!
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Posted by - 2024.04.27,Sat
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Posted by 小出 薫 - 2018.01.07,Sun

障害者差別解消法のまめ知識、第3回目です。

前回は、法律の対象となる「行政機関等」や「事業者」の

意味を確認しました。


今回のテーマは、

法律が禁止すること=不当な差別的取扱い」です。

障害者差別解消法は、行政機関等事業者に対して

何を「すべきでない」と禁止しているのでしょうか。



◆「不当な差別的取扱い」の禁止

障害者差別解消法が禁止しているのは、

不当な差別的取扱い」 です。

そのことが書いてある法律の条文7条1項はこちらです。


7条1項には、次のように書かれています。

「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、

障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱い

することにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。」


法律は、障害を理由として、障害のない人と比べて、

差別的取扱いをすることを禁止しているのです。


これは、事業者も同じです(法8条1項)。


◆「不当」と「正当」とは?

条文を見ると「不当な」とあるので、

「不当でなければ差別的取扱いをしてもいいんじゃない?」

と感じるかもしれません。


つまり、差別的取扱いをする「正当な理由」があれば、

差別的取扱いをしても法律違反にはならないのではないか?

という疑問です。


たしかに、そのような例外を認めているのが、

この条文です。


ただし、差別的取扱いをする理由が「正当」と

認められるためには、

客観的に正しい(第三者から見ても納得できる)理由

でなければなりません。


そのため、理由が「正当」と認められる例外は小さく

「不当」とされる場合が多いと考えられています。

 
◆具体的には…

たとえば、過去の法律では、

障害のある人の一部から、選挙権を奪っていました。

これは、障害を理由とした「差別的取扱い」に該当します。


しかし、障害があるからといって、

投票ができないわけではありません。

つまり、選挙権を奪うことは「不当」です。


したがって、このような法律は「不当な差別的取扱い」を

定めるものだったのです。


この具体例は選挙制度に関するものですが、

それ以外にも、

障害を理由とした「不当な」「差別的取扱い」は、

まま行われており、

障害のある人もない人も共に生きる社会

作る壁になっていることがあります。


◆まとめ

障害者差別解消法の一つの柱として、

障害を理由とする「不当な差別的取扱い」が

禁止されているということ、

多くの方に知って欲しいと思います。


(つづく)

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Posted by 小出 薫 - 2018.01.05,Fri

障害者差別解消法のまめ知識、第2回目です。

前回は、法律の概要を確認しました。


今回のテーマは、

私はこの法律に気をつけるべき?」です。

障害者差別解消法は、誰に向けられた法律なのでしょうか。


◆法律の名宛人

もちろん、広い意味では、

日本に住む人全員に向けられています。


ただし、この法律で特に

「不当な差別的取扱い」を禁止され、

「合理的な配慮」の提供を求められるのは、

行政機関等」と「事業者」です。


(「不当な差別的取扱い」や「合理的な配慮」については、

また記事をあらためて書きます。)


◆「行政機関等」って誰のこと?

行政機関等」は、大まかにいうと、

次の4つが含まれます(法2条3号、同4号)。

①国の行政機関

②地方公共団体

③独立行政法人

④地方独立行政法人


では、ここで問題です。

たとえば、ある市町村にある公立学校公立病院は、

あるいは、そこで働いている方々は、

「行政機関等」に含まれるでしょうか?


…………

そうです、答えは「含まれる」となります。

「行政機関等」という言葉の第一印象よりは、

広い範囲の人が、法律の対象となっているのです。


◆「事業者」って誰のこと?

では、「事業者」とは誰を指しているでしょうか。

それは、法人であるか否かに関わらず、

事業を営んでいる個人・法人

あるいは、そこで働く人を指しています。


◆まとめ

障害者差別解消法は、思ったよりも広い範囲の人に、

障害を理由とした「不当な差別的取扱い」を禁止し、

あるいは「合理的な配慮」の提供を求めているのです。

あなたも、この中に含まれていないでしょうか

(つづく)

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Posted by 小出 薫 - 2018.01.04,Thu

◆知っていますか?

あなたは「障害者差別解消法」という法律のこと、

どこかで聞いたことはありますか?


◆正式名称は?

この法律、正式名称は、

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律

平成25年法律第65号)

といいます。


きっぱりと、差別の「禁止」とすべきだ、

という意見もありましたが、

結局、差別の「解消」という名称になりました。

あなたは、どちらのほうがしっくりくるでしょうか。


◆いつからスタートしたの?

この法律は、平成28年4月1日に施行

つまり、法律の効果が私たちに及ぶようになりました。


上記のとおり、国会での成立は平成25年ですが、

スタートするまでには、対応体制の整備に時間がかかりました。


◆条文はどこで確認できる?

政府が運営している「e-Gov」の法令検索から、

条文を確認できます。

障害者差別解消法の条文はこちらです。


ちなみに、このe-Gov、

六法を持っていなくても法律が全て確認できるので、

非常に便利です。


この障害者差別解消法について、

少しずつ解説していきます。

(つづく)

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Posted by 小出 薫 - 2016.03.20,Sun

新潟TSネットの興奮が冷めやらない私ですが、
3/27には全国トラブルシューターの集まりに新潟チームも出かけます。

本当に北は北海道から南は沖縄までのトラブルシューターの方々が集まります。
乞うご期待!







会場はこちら

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Posted by 小出 薫 - 2016.03.20,Sun

◆「トラブルシューター」とは

「トラブルシューター」、直訳すると問題を解決する人という意味です。

いま、知的障がいや発達障がいのある方が遭うトラブルの解決を支援する活動が全国的に広まりつつあり、新潟でも活動中です。
今日が3回目の勉強会、前回より小さめの規模で、議論しました。

 


◆「ある時は探偵、ある時は親兄弟、ある時は福祉タクシー」

前半は、新潟県地域生活定着支援センターの國兼センター長から、

「『定着支援センター的対応』のススメ」と題してお話いただきました。
出所後の支援、いわゆる「フォローアップ」についてです。

 


「ある時は探偵、ある時は親兄弟、ある時は福祉タクシー」(ちょっと省略していますが)というフレーズが記憶に残ります。
刑務所を出た後、地域生活を続けるために必要なことって本当に幅広い!と思います。
定着さんが、そのニーズのどの範囲までを担うことが期待されているか、が、その先の問題としてあるのだなと分かりました。

◆受刑と障害年金

受刑と障害年金の問題は、奥が深いことも感じました。

障害年金は、受刑中は給付が止まりますが、その前提として刑務所に入ったことを届け出ることになっています。
身体障がいや精神障がいについては、医師等の面談を定期的に受ける必要があるため、
刑務所に入ったことが年金機構にも知れます。


これに対して、知的障がいについては、現況届が誰かに代筆されて提出されると、それ以上確認が行われません。

その結果、受刑中も誰かに年金を受け取られてしまうことがままあるようです。

そして、出所後に年金機構から、
「受給すべきでなかった年金を受給したのだから、今後の年金から天引きして返してもらう」と言われる事態が発生……。
刑務所に入った時の年金手続、力を入れて支援が必要ですね。
定着さんも、刑務所へ働きかけておられるようです。
プログラム、作りましょう!

◆ある刑事事件を題材にグループワーク

私もお話させていただく時間をもらって、
過去に取り組んだ刑事事件をモチーフに、グループワークもしました。


ご参加のみなさま、ありがとうございました。
勉強会、深めていきますので、みなさまぜひご参加ください。

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Posted by 小出 薫 - 2016.03.10,Thu

本日3月10日付け新潟日報朝刊のひまわり相談室のコーナーに、
今年4月1日から施行される障害者差別解消法に関するコラムを書かせていただきました。

新潟市ではこの法律に上乗せする条例も作られています。
さらに、様々な立場からの意見交換を進めていきたいですね。

 

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Posted by 小出 薫 - 2015.11.28,Sat

トラブルシューター養成研修やります!

「知的障がい・発達障がいのある人のためのトラブルシューター養成セミナー 基礎コース」
日 時:2015年12月26日(土)10:00~16:30
会 場:新潟ユニゾンプラザ2階 女性団体交流室2
参加費:1000円
資料代:500円
定 員:60名



知的障がい・発達障がいのある方の生活、刑事手続等で起こるトラブルについて、それをご本人と一緒に解決する人を「トラブルシューター」と名付けて養成する活動が広がっています。
各地での取組みも始まりつつあります(過去のセミナーが載ったチラシの一例…)。


活動には様々な立場の方が参加されていて、福祉、医療、心理、看護、教育、…司法の専門職の方や、ご家族、ご本人も参加されています。
新潟でも、最近、メーリングリストを立ち上げました。
新潟での活動は、現在のところ研修と啓発の段階ですが、今後は、具体的なトラブルの解決につなげていきたいと思っております。

12月26日は、立場や職種をこえたディスカッションや交流ができたらいいなと思っています。
年末の慌ただしい時期ですが、よろしければ新潟にお越しください~。

※プログラム
10:00~10:50「トラブルシューターとはなにか?」PandA-J代表・堀江まゆみ
11:00~12:00「なぜ犯罪を犯してしまうのか?」法務総合研究所研究官・杉本浩起
13:00~14:00「トラブルが起きたらどうする?」糸魚川きぼう法律事務所・小出薫
14:15~15:15「パネルディスカッション 若年女性知的・発達障がい児・者の性被害・性加害について考える」
15:30~16:30「グループワーク」

17:30~懇親会@ホテルラングウッド新潟4階レストラン彩巴(会費5000円)

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Posted by 小出 薫 - 2015.11.04,Wed

11月8日に、日本臨床発達心理士会新潟支部さんの研修会にお邪魔します。
お近くの方は、いかがでしょうか?

題材は、障害者差別解消法です。
そもそも「差別」とは何か、社会的に作り出されている障がい(バリア)を取り除くための「合理的配慮」とは何か、議論できたらと考えています。

第2部の周佐さんのお話も楽しみです。
 

先日は打合せで、同支部代表、新潟大学教育学部の有川宏幸先生と打合せをしてきました。
2時間ほど、おしゃべりをして、いろいろと教えていただきました~。
ありがとうございました!



有川先生のホームページ「ありちゃんねる」
http://arichannel.jp/

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Posted by 小出 薫 - 2015.05.20,Wed
今週、5月24日(日)に、新潟司法福祉研究会さんにお邪魔して、
トラブルシューター養成講座を行います!

なんと、……私も講師の一人です!(驚き)
知的障がいや発達障がいのある方が巻き込まれたトラブルについて、
新潟では、「司法」と「福祉」がどのように協力して活動できるか、
参加されるみなさんと議論してこようと思います。

↓ チラシです(私の名前に「弁護士」「先生」と付いていますが、怖い者ではありません笑)

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Posted by 小出 薫 - 2015.03.04,Wed

もう1か月近く前のことになってしまいましたが、
東京トラブルシューター・ネットワークの出前講座で、

発達障がいのある方の親御さんのサークル・しょーとてんぱーさんにお邪魔しました。
(しょーとてんぱーさんのブログはコチラ

今回の出前講座は、参加されたみなさんから事前に伺った質問に答え、
最後にある事例についてのディスカッションをする、というものでした。

詳しくは、ブログにまとめられています。
僭越ですが、私も1コーナーを担当させていただきました。

そこでご紹介した発達障がいに関する研究について、成果が公表されるのを待っています。
下にリンクを貼っておきます。

厚労省・発達障害に関連する研究課題
 
内山医師らの研究成果

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プロフィール
HN:
小出 薫
性別:
男性
職業:
弁護士
趣味:
①演劇を見ること。②知らない場所を歩くこと(地図を見ながらでも、地図を見ないようにしながらでも楽しい)。
自己紹介:
◆所属するグループ:
新潟県弁護士会
新潟トラブルシューター(TS)ネットワーク
薬害肝炎(C型肝炎)東京弁護団
HPVワクチン薬害訴訟弁護団
介護保険勉強会、日本社会保障法学会

◆出身:
一橋大学法科大学院
ニューヨーク州立大学大学院Stonybrook校
(公共政策プログラム)
京都大学農学部森林科学科
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